10月の例会の様子

10月の例会の様子
今回は、天候が大荒れで計画運休もあり少数の11名の参加でした。
(^_^)/

 

 

午前中は個別相談です。

午後は、「私と帆船」の第2回目。
ベテランの和谷会員から懐かしい1980年代の資料を使った説明がありました。


当時と今と帆船模型の値段はほぼ同じです。

帆船模型が昭和の時代は高価であったことが分かります。
当時は、雑誌等でも帆船模型を扱っているお店が沢山ありました。

在りし日の黄金の日々を皆で懐かしんでいました。

 

 


次は「舵の話」です。
参加人数が少なかったのでガジョン、ピントルの銀ロウ付けなど模型の話は11月にします
今回はヨットマンの高橋会員から舵についての実船の講義を受けました。
最初の質問は、舵で船が曲がるのはなぜ????です
皆、ポカン、水の抵抗でしょ?
答えは、揚力なのです。
ですから船尾から舵まで流れるようなラインが必要なのです。
揚力ですから滑らかなラインが大切で、舵と船尾の隙間は少なくする必要があることが分かります。
また、揚力ですから舵には最大の曲げ角があり、それ以上曲げてもかえって舵が失速し曲がらないことが分かります。

 

この辺は、The Development of the Rudderに詳しくでています。

この本は一般向きではなく、数式が沢山でてきますので、マニア向きです。
また時代もバイキング船のようなダブルエンディッドと呼ばれる船首船尾が同じ形の船の舵について詳細に記述されています。)

 

 

バイキング船の時代の舵は右舷についていました。
このことからスタット・ボード→スタボー(右舷)という言葉が生まれたといわれています。
その後、舵は船尾中央に設置されます。コグ船の登場です。
同時に舵柄が開発されます。
更に18世紀初頭には舵輪が開発され、大型船の舵も操作可能となります。
第2問は舵は何のためにある?です
当然、皆さん曲がるためにある  と思っています。
答えは、真っ直ぐ走るためにあるです。
ヨットのレガッタでも舵が流されればもう真っ直ぐ走るとはできません。
曲がるだけであればセールの操作で曲がれますが、真っ直ぐに走らすことはできません。

風向きと帆船の進み方は図のようになります。
風上に進むクローズ、風と真横に進むアビーム、追い風を斜め受けるクォーター、まともに風下に進むランニングと4種類の方向があります。

真後ろから風を受けて追い風で走るランニングは一番速そうですが
図に示されているとおり、クォーターが一番速いです。

この図は、この本からの引用ですが、帆船の扱い方について豊富な図で詳細に解説されており、操船に興味のある方にはお勧めです。
Seamanship in the Age of Sail
帆船は、追い風で走るランニングで通常航行しているイメージがあるかもしれませんが、実際は異なります。
ランニングで走るとには以下の欠点があります。
○全ての帆に風が当たらない。
○バウ沈する。(船首が沈み抵抗が増す状況、こうなるとマストが折れそうになる)
○船尾が波で叩かれる(追い風で走る以上、船尾を波が押す状況となりますが、実際は船尾が波に叩かれる。帆船は構造上船尾楼が弱いので叩かれると壊れる。
など様々な理由から
速度がでて、これらの問題のないアビームやクォーター(リーチング)で走ります。
大抵はクォーターで走ります。
旗や、帆の向きもクォーターをイメージすると帆の並びも綺麗です、

当時の船でも、若干ですが風上に航行できます。
風上に船が上るのは不思議な気がしますが、この時のセールの働きは、翼です。揚力で風上に上がります。
従って、四角帆よりも三角帆の方が翼の形が綺麗にでますので、風上への登り性能に優れます。

帆船が進行方向を変えるときは、右舷、左舷に舵を切るというイメージではありません。
タック(風上回し)かジャイブ(風下回し)をすることになります。
曲がるのはセイル操作であって、舵操作ではありません。舵は補助となります。
船首側のセールを一杯に詰めていくと船は風下に回ります。(ベア)
逆に緩めていくと風上に上がっていきます。(ラフ)
タックの場合ラフ→セール入れ替え→ベア
ジャイブの場合は、ベア→セール入れ替え→ラフ
という操作の流れになります。
タックの方が簡単ですが、もたつくと船の速度が極端に落ちます。
ジャイブは、難しくセールをしっかり引ききらないと大回りとなってしまします。
スピードに乗って作業する必要があり、醍醐味はありますが、操作は難しくなります。

水夫の息の合った操作が必要です。
それを補助する形で舵を操作します。
従って、舵を操作する場所は、必ずセール操作が全貌できる船尾となります。

セールの入れ替えは、すばやくしないと、裏帆を打ったり、船足が止まってしまいます。
三角帆では風を受ける面が文字通り表裏が入れ替わります。
四角帆では風を受ける向きが入れ替わります。
このセールの入れ替え時に風向きを見誤ると、(船が回りきっていない段階で次の操作(ラフ、ベア))をすると裏帆を打つことになります。
裏帆を打つとは、セールの反対側に風を受けることをいい、マストが折れたりします。
意外に思われるかもしれませんが、走っている船上では正しい風の向きは分かりません。
進行風と実際の風向きの合成した風の方向しかわかりません。
セールの膨らみ具合を見ながら操船することとなります

例会でも皆さん意外に思われたようですが船乗りは風を目で見ています。
ヨットを経験すると分かりますが、水面をよく見ると濃淡ではっきりと水面が区分できます。
この海水面の濃淡で風が入ってくるなどの情報を得るのです。

実際の操船方法が分かると帆の配置や旗の向きなどが良く分かり面白さが倍増します。
では次回11月の例会をお楽しみに(^o^)