〇基本的には、片舷だけ砲門が開いているのは正しいです。
戦列艦は基本的に一列になって戦います。
舷側broardsideの一斉射撃ですから片側の砲門だけが開くことになります。
〇船員数も片舷側射撃分しか用意されていません。ビクトリー号を例にとると水兵は677名、士官146名が乗っています。
両舷撃とうとすると、以下の様に人数が足りません。
これは、両舷を1組が管理しているためです。基本的に、片舷側射撃であることが定員数からもわかります。
32ポンド砲は14名必要ですが、30門あるので、420名が必要
24ポンド法は11名必要ですが、28門あるので、308名が必要
12ポンド砲は9名必要ですが、44門あるので、396名が必要
あとカロネード砲が2門あります。
参考までに、32ポンド砲の水兵の配置は以下のとおりです。
この当時の大砲の打ち方は以下のとおり。
Loode Gun 装填配置に着きます
Level Gun 楔を入れて大砲を水平にします。
Shot&wad パウダー・マンが袋に入った装薬を入れ、装填手が砲弾を入れ、Wadsという詰め物をします。
パウダー・マンが袋に入った装薬を入れ
装填手が砲弾を入れ、Wadsという詰め物をします。
The Arming and Fitting of English Ships of War, 1600-1815 (Conway’s History of Sail)
Run Out 砲門を開け、ハンドスパイクマンが、てこ棒で砲を動かし、索を引いて砲を突き出します。
Prime 点火薬を盛る(英)、導火線セット(仏)
Point Gun 良く狙い(甲板上か、喫水線上船体か、喫水線下か)、砲術長が点火します。
Fire 点火
Worm&sponge 砲が後退するので、直ぐに清掃手Spongerが砲腔内を清掃し次弾装填へと進みます。
スペインはそれ以下だったようです。
そのままフランスのルドーダブル74門艦に横付けします。右舷にフランスの74門艦、左舷側にスペインのサンチシマ・トリニダド136門艦とフランスの旗艦ビュソントール80門艦を睨み、1:3で両舷で大砲を発射しています。
10分間に136門艦に3斉射216発、80門艦に5分間に2斉射86発、74門艦に5分間2斉射78発打ち込み2隻を仕留めています。
136門艦は、死者205名 負傷者108名 80門艦は死者197名負傷者85名 74門艦は死者120名負傷130名溺死275名
ヴィクトリーは死者57名負傷者102名
全体ではフランス・スペインは18隻失い、英国は損失0隻でした。
風下艦隊の旗艦ロイヤル・ソリブン100門艦も両舷に適船を抱え両舷で砲火を交えています。
他の船も同様両舷で砲火を交えていますので、両舷で砲門が開いて砲が突き出ていても間違いではないようです。
それぞれの船の概要は以下の通り
ヴィクトリー号
水兵677名
32ポンド砲30門 24ポンド28門 12ポンド砲44門 68ポンドカロネード2門
サンチシマ・トリニダド136門艦
1048名内歩兵382名
36ポンド砲34門 24ポンド34門 12ポンド砲34門 8ポンド砲18門 4ポンド砲8門
ビュソントール80門
888名内歩兵248名
36ポンド砲30門 24ポンド30門 12ポンド砲6門 6ポンド砲12門 36ポンドカロネード砲6門
ルドーダブル74門艦
643名内歩兵200名
36ポンド砲28門 24ポンド30門 8ポンド砲16門 36ポンドカロネード砲4門
今回の参考文献は40ポンドの
The Trafalgar companion
Mark adkin著
AurumPress出版
40ポンドの500ページ弱の大変綺麗なカラーのイラストがある本です。
これ一冊で戦闘経緯と参加戦列艦、大砲の打ち方、戦闘の戦術、操船の仕方など分かります。
お得感のある本でしたが、絶版になって高値がついています。