
12月例会では佐野さんからロープ名古屋作品展訪問の報告と五十嵐さんから新しく出版された”Rigging First-Rate Ships of the Royal Navy, circa 1805 Modeler’s Rigging Handbook”の紹介がありました。VictoryのリギングをCGで説明している本で、非常に細かい点までCGなので明確に描かれています。海外のAmzonサイトで購入できるようです。
ガイドブックに沿った講義とディスカッションのテーマは”マストとヤード”です。
・実船ではマストは1本の丸材ではなく複数の角材の張り合わせで、補強のためのフィッシュと呼ばれる副木やそれを縛るロープ(ウールディング)があります。 フィッシュは大きな模型では再現される事がありますが、通常はウールディングだけの場合が多いです。 ウールディングは年代によりロープから金属に変化します。 有名なビーグル号では金属になっていました。
・トレッスルツリーは固定しない方がリギング作成時など少し動かすことができるのでお勧め。
・旗が付けられるマストの天辺がトラックです。 古い時代の旗は固定でしたが、英蘭戦争後は旗をロープにつないで上下させるようになったので滑車が付いています。
・マストの接続部でマストの下部はマストヒールと呼ばれます。実際にはかんぬきで固定され抜けないようになっていますが、模型ではそこまでしなくてもマストが落ちてくることはないので通常は不要です。
・マストヘッドは英国船は四角だがオランダなどは丸のままとなっています。
・丸材を四角に加工する場合、バイスに丸材を固定してやすりで削る方法がありますが、蒲鉾状になりやすく、またバイスを削ってしまうことがあるのでやめた方がいいです。
・マストやヤードはテーパーが付いています。 テーパーを付ける場合、太さが変わるので目印として何か所か丸棒に印をつけておくと分かりやすいです。
・ドリルでマストやヤードを回転させて削る場合は布ではなく革の軍手を使った方が安全です。
・削り方として、板にサンドペーパーを付けておき、ドリルで回転させたマストやヤードに押し付けて削ることができます。
・また、小刀等の刃を立ててするように削ることもできます。
・ある程度削って丸の定規(丸い穴の開いたテンプレート)でサイズを確認します。定規に差し込んで回すと擦れたところは光るので必要なサイズまで削っていきます。