帆船豆知識 №9

 例会などで出た素朴な疑問にお答えする帆船についての豆知識のコーナーです。

5月からの久々の投稿です。

今回の質問は?

カティサークのヤードとセールはどうやってつなぐの?

ジャック・ステイの役割は?

 

○ジャック・ステイ
19世紀初頭にジャックステイが導入されます。
セールはヤードではなく、このジャック・ステイに取り付けます。

 

 

 

ジャック・ステイ導入の趣旨は、セイルとヤードの間の隙間をなくすことです。

 

 

 

 

 

導入以前は、ヤードにセールをロバンドで結束していたため、どうしてもヤードの下にセールとの間に隙間ができていました。

 

ヤードの上にジャックステイ(最初はロープ、のちに金属棒)をはりジャックステイとセールをロバンドで結束することでヤードとセールの間の隙間がなくなりました。

ヤードとセールの隙間は当然無いほうが良く、特に風上に進む場合には、風がセールを押すのではなく、セールを翼の様に働かせ揚力を発生させますので、隙間の有無が風上への上がり角度に影響します。

実際に模型を制作する際には、ヤードとセールの間に隙間が生じないように注意しましょう。
この辺の知識がないとセールの取り付け方法を間違えかねませんので注意が必要です。

この辺の事情は、ハロルド・アンダーヒル著のSeamanship in the age of sailに詳しく記述されています。

セールをつける場合、注意する必要があるのが、リーフポイントとフートロープです。
セールを縮帆する際に使うリーフポイントとヤード作業の足場のフートロープですが、17世紀まではありませんでした。
ビックリですよね。
○フート・ロープ

普通に考えるとフート・ロープというヤードの足場は、当然昔からあったと思ってしまいます。
実際には17世紀中ごろに導入され、それまでは水夫はヤードにまたがって作業をしていました。
16世紀の無敵艦隊アルマダのガレオン船やソブリン・オブ・ザ・シーズのような初期の大型ガレオン船にはフート・ロープは付きません。

フート・ロープの有無は、セールのたたみ方が影響します。
フート・ロープがあるとヤードの前にたたむことが出来ますが、フート・ロープが無いとヤードにまたがった状態でセールを手繰り寄せるのでヤードの下側にたたまれます。

ジャックステイがあるとセールはヤードの前にたたまれます。

○リーフポイント。
航海中のリーフィング:縮帆作業に使うのが、リーフポイントという索で昔からありそうですが、フートロープがないと使えません。

 

 
フートロープ導入までは、リーフポイントではなく、ボンネットが使われていました。
このボンネットは結構複雑で細かい作業となるので、モデラー泣かせです。

これはセールの下側にロープを輪の連鎖上にして結合するものです。
簡単にセールの下側を切り離すものです。
16世紀の無敵艦隊アルマダのガレオン船やソブリン・オブ・ザ・シーズのような初期の大型ガレオン船にはリーフポイントではなく
この面倒なボンネットが付きます。

ところで、このリーフポイントですが、10世紀のバイキング時代まで遡ると実は、リープポイントが付いています。
10世紀にはフートロープはありません。
どうしたのでしょう?
この1本マストの船は、ヤードへ登るのではなく、ヤードをデッキまで降ろして縮帆作業をしていたので、フートロープがなくてもリーフポイントが活用できたのです。
今回の参考資料は次のとおり

ハロルド・アンダーヒル著のSEAMANSHIP in the age of sail
現在は絶版で古書に高値がついている本ですが、絵はフリーハンドで精密画はありません。
ただ、セールや船の扱い方について詳細に記載され、次代毎の変遷やその理由も記載されています。

 

アンダーソン著のThe Riggin og Ships in the day o Spritsaail topmastThe Rigging of Ships in the Days of the Spritsail Topmast1600 1720
1920年の古い本ですが廉価。活字も古く手書きみたいな活字です。絵もあらくフリーハンドです。
よく引用されている本です。
内容は実に濃いです。
この本に限っては英語力は必須です。
絵をみて解釈しては駄目です。
間違った例の図も多く掲載されており、絵をみて判断すると大間違いをおこします。
本文の英語をしっかり読んでください。
廉価、字が大きい、内容が濃い、入手しやすいで良書だと思います。
Lee著のリギングの本です。この本もよく引用されています。
この本は先ほThe Masting and Rigging of English Ships of War 1625 1860どの本と異なり、英国を主に記載されています。
年代別にリーフポイントは何時ごろ導入されたとかまで細かく記載されています。
リギングを勉強するには良い本です。
絶版で古書を入手することとなります。この本結構高値です。

 

和訳本もあり、そちらの方が安い場合もあり、良く見て購入する必要があります。
この和訳は帆船模型モデラーが翻訳しており、大変上手に訳されています。
また、絵の場所なども参照しやすいように原書から変更されています。

では次回をお楽しみに(^o^)/