チーク・ニーとヘッド・レールの加工をします。
チーク・ニーは上下二本、ヘッド・レイルも上下二本。
いずれも黒檀をペロパローサでサンドイッチして黄色>黒>黄色にしています。
この部材ポイントは船の外側のラインとピッタリ合うことです。
図面どおり作ったつもりでも、必ず大きくずれるので、実際に船の外側の形状を測る必要があります。
方法としては
○型取ゲージを使う
私は、好みで石粉粘土で型をとります。
乾燥に時間がかかりますが、何度も再利用できること。
乾燥すると粘土はスカスカなになりますので、簡単に鋸でカットでき重宝しています。
他には型取用の合成樹脂=「型取くん」もあり、お湯で煮て使うもので、これも再利用可能で便利です。
型取り用の油粘土もあります。
どれを活用するかは? このあたりは好みです。
ヘッド・レールは3本ではなく2本なので比較的単純ですが、それでも3次元の曲線となっているので大変です。
現物合わせで修正するしかありません。
寸法を何度も確認し、端材で型どりを作りながら、コテで曲げていきます。
結構苦労するところですが、ゆっくり綺麗に作業をします。
決して急いではいけません。
セコイ技ですが、先に左舷で練習してから右舷の作業をします。
展示のときに右舷が手前に来るためです。
名人は0.5mmのピアノ線を平刃に加工して彫られるようです。
私には無理なので、ルーターを使います。
このような小さな彫刻用のルーターは低回転のときにトルクが太くないと、作業中に滑って上手くいきません。
東京のロープの方のお勧めで、このルーターを使っています。
芯がまったくぶれず、超低回転でも安定しており、トルクも極太です。
ラウンドカッターを使うと全く滑らないため0.8mmのデッドアイに0.2mmの三つ目をあけることができます。
回転は足踏みペダルで調整すますので、便利です。回転方向もスイッチで右左どちらでもできます。
高価なルーターですが、それだけの精度をそなえた一品です。
ルーターに0.3mmのラウンドカッターで鉛筆のとおり削っていきます。
気をつけないと簡単にラウンドカッターが熱で変形し団子になるので、注意します。
切れ味は超鋼のラウンドカッターの方が良いです。ちょっと高価です・・・
0.5mmのラウンドッターや円柱のカッター、円錐のカッターなど十数種類のカッターを駆使して彫刻します。
今回始めてのフィギュアヘッドですが、結果は、幅が広になりすぎて失敗です。
人物像とくに頭の彫刻はコツがいります。
洋書ですが、以下の本が参考になります。
Carving Classic Female Faces in Wood
船尾の装飾作業です。
18世紀の輸送艦ですから17世紀のバロック調のオランダ船の装飾と比較して大変地味です。
それでもスクラッチで作業するのは大変です。
バウンティ号の場合、船尾のオリーブの模様と船名をどうするかです。
今回はカステロ材を0.5mm厚に加工して、堅い台木に軽く木工ボンドで接着し、ルーターで彫りました。
BOUNTYもチャント削れています。
水で台木から離します。
時代のイルカは本当に怪獣でなんとイルカにウロコがあるのですが、この時代の代表的な装飾です。
プープの側面は、外側が黒檀の茶色系のものを、内側にパープルハートを貼っています。
内側は赤色にしたかったのですが、よく使われるサティーネは高価なので、廉価なパープルハートを使っています。
今回は、このくらいに(^_^)
次回は、旋回砲の設置と仕上げです。