製作日誌 構造模型 バウンティー #5

今回は、階段、ポンプ、キャプスタン、ウインドラス 鐘、舵輪の製作を紹介していきます。

五十嵐製作

階段の作成

最初に階段の作成です。

作成方法は、治具を作ったりといろいろな方法があります。

今回は1/96なので、階段そのものが小さく部材が薄いので以下の方法で製作しました。

 

 

0.8mm厚にしたサクラの板に階段の左右を描いた絵を貼り付けます。

 

 

 

 

0.5mm厚の回転カッターでミゾを正確に深さ0.2mmで慎重に彫っていきます。

絵に従って切り出します。

階段の踏み板は、厚さ0.5mmの黒檀を使いました。

最上段と最下段の踏み板をホワイトボンドで接着します。

瞬間だと後でやり直しが大変なので、使いませんでした。

ノギスを使って歪まないようにし、乾燥させます。

 

 

 

十分に乾燥したら、残りの段に踏み板をミゾに沿って入れていきます。

 

 

 

結構簡単にできます。

デッキにつけるように枠を黒檀で作成します。

 

 

 

合体させるとこんな感じです。

コツは

①どれだけ正確にミゾが彫れるかです。

②踏み板の厚さが正確にミゾの幅と合っていること。

です。


 

全て黒檀で加工している例です。

 

 

 

 

 

 

黒檀は高価ですから、側板は両面テープで台に貼り付けて、正確に左右対称にミゾが彫れるように準備します。

 

 

 

 

 

後の作業はサクラ材を使った時と同じです。

 

 

 

踏板も黒檀で制作します。

 

 

 

こちらの方が見栄えはします。

 

 

 


ウインドラスの作成

この船ではウインドラスで錨ロープを巻き上げます。

 

 

今回はペロパローサというブラジル原産のキョウチクトウ科の比重0.8です。

 

 

 

 

 

塗ったようなツヤのある橙色の材で、旋盤での切削性が大変良く、加工面も大変綺麗です。

私はダイキンで購入しました。

まず、8角形の棒に加工します。

先端を一回り小さな8角形に加工します。

更に、旋盤でベアリング部と中央のラチェット(逆転防止)の部分を切削します。

バーを差し込む穴は○ではなく□なので、注意がいります。

ラチェットの歯の部分は切削ではなく、細い棒材を貼り付けました。

ウインドラスの部品がそろいました。

側板に大きな穴をあけます。

ドリルであけると割れます。私はルーター派なので、ラウンドカッターで慎重に切削していきました。

仮組みした状態です。

 

この船のラチェットは2枚ありますので、可動式で組み立てました。

 

 

 

 

 


鐘の作成

ラチェットの支柱に鐘がつきますので、鐘を製作します。

真鍮棒を木工旋盤で切削加工します。

切削油もなしに、目立てヤスリで削るだけです。

内側はルーターにラウンドカッターを付けて削りました。

意外にアッサリ削れました。

上甲板にセッティングするとこうなります。


 

 

キャプスタンの作成

通常はキャプスタンで錨ロープを巻き上げますが、この船ではヤードと吊るリフトを巻き上げます

キャプスタンは年代ごとに形が大きく変化するので、注意します。

この船のキャプスタンは18世紀の英国船では標準的なものです。

 

ペロパローサの棒材を旋盤加工します。

念のため予備とあわせて2つ作っています。

真ん中にピアノ線を通して旋盤加工しています。

 

 

この方が、材がブレません。

ロープと絡む板を注意深く6つ上下に付けます。

 

 

また、バーを通す穴もドリルであけます。

正確な角度で注意深く穴あけをします。

バーの穴は本当は□ですが、今回は全てのバーを取り付けますので○でいきます。

これで上甲板にセットすれば、実際に回ります。

 

 

 

 

バーを8本つけて上甲板にとりつけた状態です。

バーの角度は綺麗ですが、先輩諸氏に明らかにバーが細すぎると注意を受けました。

製作中は全く気付かなかったのですが、指摘をされてみれば、本当に細すぎました。

反省(><)


 

 

舵輪の作成

舵輪は、1703年に60門艦に原型が搭載され、最初はミズンマストの後ろに位置しましたが1735年頃からは、ミズンマストの前に位置したようです。

 

舵輪の導入によって、その位置が自由に設定できるようになっとship of the line Vol.2 に記載があります。

それまでのウイップ・スタッフは舵柄の上にしか位置できなかったため自由度がありませんでした。

 

 

 

舵輪の製作のポイントは、綺麗に同心円に3重の輪が並ぶかです。

 

 

 

 

歪まずに同心円で3つの輪を取手で支える状態に加工するには、工夫がいります。

 

 

いろいろな方法がありますが、今回は次のような方法で加工しています。

黒檀の短い棒材と旋盤で噛む部分をブナ材でしっかり接着します。

黒檀は高価なので、なるべく無駄にしたくないためです。

旋盤で3つの輪を彫ります。

実際の舵輪の厚さ+αの深さまで彫ります。

 

これから取手を取り付けますが、まず旋盤に咥えさせたままの状態で

取手の入る穴をドリルで8つあけます。

本当は、この穴は□ですが今回は○のままいきます。

旋盤から離すと綺麗に穴あけすることが難しくなります。

旋盤に材料を咥えさせたままの状態で角度に注意しながらドリルします。

 

取手は、真鍮棒を加工して、作ります。

旋盤からいったんはずして取手をつけていますが、旋盤に材を咥えたままの状態で取手をつけても良いです。

取っ手は瞬間接着剤で、特に軸部分と輪の部分と取っ手がしっかり接着できているか意識します。

後で切り離したときに、取手と輪だけで舵輪を構成するわけですからシッカリ接着します。

 

シッカリ接着できたら、旋盤に咥えて、鋸で輪切りにします。私は厚さ0.2mmのNAKAYAの鋸で切り離しました。

取っ手が付いた状態で切り離すので十分に注意します。

支柱にとりつけて完成です。

今回は、舵輪を回せば舵が動くようにするつもりでしたが、舵の蝶番が堅く上手くいきませんでした。

 

今回はここまでです。(^^)

次回は、上甲板(アッパーデッキ)の作成と舵(ガジョンとビジョン)の作成です。