製作日誌 構造模型     バウンティー #4

今回は、主甲板(メインデッキ)の残りの作業の

グレーチング(格子)と調理用のストーブ:ギャレイの製作です。

銀ろう付けの作業もやっていきます。

五十嵐 製作

上甲板(アッパ・デッキ)の作業前に次の作業をやっておきます。
○船倉のグレーチングの作成
○ストーブ(調理用ボイラー)の作成
○階段の作成
今回は、グレーチングとストーブの製作を紹介します。
【グレーチングの作成】
グレーチングの材は、黒檀を使いました。大変脆く堅い木材ですが、仕上がりが素晴らしいです。また格子の間隔は0.5mmとしています。凹が0.5mmのミゾ 凹凸で1mmピッチです。本物が76mmですから1/96で0.5mm間隔はちょっと狭いです。

黒檀の板を櫛状に加工し、お互いを組み合わせて格子にするスタンダードな方法で行います。

0.5mm間隔で格子を作る場合は、ヒノキやブナ等では歯が欠けて加工できません。サクラやペアウッド、黒檀などの材を使います。

格子間隔が非常に狭いので工夫がいります。まず長方形の板に木目と直角に鋸で0.5mm間隔でミゾを入れていきます。ミゾ同士が、正確に並行で、等間隔になっているか注意します。不正確だと、あとで格子に組めません。あせらずゆっくりと作業します。
ミゾは必ず、木目と直角に切らねばなりません。スライスして櫛を得るときに、木目と並行にスライスするためです。木目と直角にスライスすると歯が欠けます。
一見簡単に思えるスライス作業ですが大変難しい作業となります。
0.5mm間隔の格子なので、櫛の厚さも0.5mmでスライスする必要があります。ここまで薄いと上手にしないと簡単に櫛の歯が欠けます。私は、厚さ0.1mmの直径13mmの丸鋸Busch(ブッシュ)スチールバー No.232 プレートソー 13.0mmを旋盤に付けて、ゆっくり時間をかけてスライスしました。ここでも工夫がいります。非常に薄い丸鋸なので、木を切っている時に、簡単にゆがんでしまいます。これを防ぐために、直系8mm程度の真鍮の分厚い円盤をつけてもいいのですが、今回は特大のヘッド:小野島 HP L8マンドレール 大頭(直径8mm)を使いました。直径が8mmもある特大のヘッドで大変便利です。これで、少しずつ切り進めて行きます。1回0.05mmずつでやりました。櫛ができたら、厚さをノギスで確認し、必要に応じてサンディングします。よほど注意しないとサンディング中に歯が欠けます。櫛を正確に格子に組みます。前後方向が上に来ます。正確に格子を組んだら、周りに木工ボンドを薄く刷毛で塗ります。ボンドは控えめにしないと、汚くなります。綺麗に乾いたら、サンディングして上側が弧を描くように加工します。仕上げにブロクソンのポリライトホイール120番(前仕上げ)  ~ポリライトホイール1000番(超仕上げ) でルーターを使って磨きます。

ピカピカになります。



【ストーブの作成】

ストーブといっても暖をとるものではなく、調理器具です

18世紀の英国船の標準装備の調理用ボイラーで、湯沸し、自動回転グリル、蒸留装置も付いて秀逸です。英国では1780年からBrodie社のストーブを海軍標準ストーブとして採用します。艦の等級によって大きさは異なりますが、構造は同じです。 このストーブは鉄製です。1750年以前まではレンガ造りのものが一般的でした。 2つの大きな釜(1つ600L)があり、底には真鍮製のコックがついていました。(模型では省略しました。) またこの釜で海水を沸かすと、蒸気が真鍮製のパイプを通り、周りが冷却水で囲まれており、蒸気が冷えて真水が得られる蒸留装置もついてます。なお、この温まった海水を釜へ移す経路もある優れものです。煙突に風車があり、この動力で串焼き機を回転させる機能もついています。また、オーブンが2つもついており、40kgものパンを焼けたようです。


 

今回は、0.5mm厚の真鍮板で加工します。

 

 

 

 

真鍮を展開図のとおり金切ハサミで切り出します。

折り目の部分は回転やすりでミゾを切っています。

 

 

 折りあげるとこんな感じです。

継ぎ目を銀ロウ付けしようとしましたが、上手くいきませんでした。

部品を分割することにしました。

 

 

パーツを分割して最初からやり直しです。

パーツを切り出します。

 

 

 

これを折りあげて、裏方半田付けします。

今回は粉末半田を使いました。

簡単にはんだ付けできます。

 

 

 細かなパーツも根気良く切り出し、蓋の取手など粉銀ロウバーナーを使って銀ろう付け加工します。ロウ付け時はハニカムのセラミック台で作業します。
ボイラーの蓋です。

 

 

裏側です。

 

 

 

 

 

煙突も真鍮板を巻いて、銀ロウ付けして加工します。

 

 

 

だいたい折り曲げたら銀ろう付けしていきます。

 

 

 

 

黒染したところです。

 

 

 

 

 

2つを組み合わせるとこうなります。

かなり悪戦苦闘したので、せっかくの黒染がすっかり剥げてしまいました。

 

 

 

反対側です

実物の煙突の口の向きは風下になります。実物では回転します。模型では固定しています。

煙突の口は船首方向を向けています。

部品がそろってきました。

一応黒染しました。

 

 

 

何回も失敗しながら作業します。

パーツを組み上げると、それらしくなってきました。

雰囲気を味わうために黒染しました。

串焼き棒のラックも銀ろう付けで加工します。

一気にロウ付けしないとバラバラになります。

結構大変です。

本体につけるとこんな感じ。

 

 

 

 

 

全体の仕上げは黒染めで仕上げています。
このとき使っていた黒染め液 バーチウッド ブラスブラック メタルフィニッシュ 黒染め液 が売っていないようです。
御徒町のシーフォースで別の黒染め液が売っています。黒染め液 カラス 銅・真鍮用 200ml

 

今回はここまでです。(^o^)/

次回以降は上甲板の作業に進みますが、階段、ポンプ、キャプスタン、ウインドラス 鐘、舵輪の製作を紹介していきます。(^^)/