技法:黒檀の曲げ方

久々の製作の技の紹介です。
今回は黒檀の曲げ方です。

ウェールは黒く塗るより、黒檀を使うと非常に綺麗で上級者の作品によく見られます。
その時に困るのが船首のカーブです。
「黒檀は曲がらない」木で有名で、脆くて堅いので下手に曲げようとするとアッサリ折れます。
 今回は幅4mm厚さ2mmの黒檀を曲げてみます。
船首部のカーブで今回は、直径10cmの1/4円で曲げることを考えます。
木を曲げる場合は内外差を考えないといけません。
外側が79mm内側が75mmでその差が4mmあります。
0.1mmの精密鋸で40箇所切れ込みを入れると計算があいます。
(約2mm間隔)曲げやすくなります。
※木を曲げる場合は、外側を延ばすのではなく、必ず内側を圧縮します。
延ばすとアッサ裂けます。
圧縮を助けるために鋸で切れ目を入れます。
深さは板厚が2mmですから1mmで十分です。

深すぎると曲げるときに切れてしまいます。
切れ目は曲げると消えます。
十分に水に浸してから、パッチワーク用のコテ(別にアイロンでもOK)で木を暖めてゆっくりと曲げます。
必ず型を用意します。
このヒトテマが成否に大きく影響します。
またウエル材の端は止まるようにします。
反対方向からチョット押しながら、木をコテで暖めて、型に沿わせて曲げます。
あくまで、延ばすのではなく縮ませます。
焦らず、ゆっくりと10秒くらいずつしっかり熱を使えます。
ゆっくりゆっくり曲げます。
途中で水で濡らして、木が焦げないようにします。
ここで木を焦がさないように注意してください。
黒檀ですから多少の焦げは目立ちませんが木が脆くなります。
上手く曲がったら、型にクランプなどで、材を30分ほど固定して、冷まします。
この方法で厚さ3mmくらいまでは曲がりますが、5mmとなるとちょっと慣れが必要と思います。
コテは帆船専用のコテもあります。

私は、普通のGoodのコテに、アマゾンで買ったパッチワーク用の先(千円)を付けています。
趣味でGoodの温度調節機をつけています。
黒檀を曲げるだけなら温度調節機は不要です。
カステロなど曲がりやすい木で焦がしたくない場合に使います。

800円のミニアイロンでも十分作業できます。
補足
 水で濡らす時間ですが私は、2,3分でやっています。
30分は浸すように書いている本もありますが、問題ないです。
コテは、普通のアイロンでもかまいませんが、廉価なミニアイロンでも十分です。
スチームの有無はこのみですが、私はスチーム無しで材を濡らしながら、コテをあてています。
パッチワーク用のコテでも普通の半田コテの先をパッチワーク用のものと交換してもOKです
帆船用の外板曲げ用のコテも売っています。
家庭で使われているアイロンを借りてはいけません。
白い生地に木の油が付いて叱られます。
切れ目ですが曲げると圧縮されて見えなくなります。切れ目の数は正確に計算してください。
また深さに注意して下さい。深すぎると曲げている最中に切れてしまいますし、
浅すぎると曲がりません。だいたい厚さの1/2弱です。
曲げやすい材と曲げにくい材があります。
ペアウッド、カステロ、柘植、ヒノキ、桐などは曲げやすいです。
桜も堅い木ですが、熱をかけると非常に良く曲がります。
マホガニーは外側が裂けやすく曲げにくい木です。
ブナは、家具では非常に曲げやすい木として有名ですが、模型の場合は結構苦労します。
今回とりあげた黒檀は大変曲げにくい木です。
堅く、脆く、熱をかけると更に脆くなる感じです。
カメルーンエボニー、グラナディアで特に違いを感じたことはなく、堅く、脆く曲げにくいです。
今回の方法のほかに0.5mm程度の薄い板を重ねる方法もあります。
黒檀でも0.5mmだと簡単に曲がります。
電子レンジで蒸したり、煮沸したりする方法が洋書などに紹介されていますが、
私のやった限りで上手くいきません。
型を作って、コテで濡らした木を曲げたほうが上手くいきます。
手間ですが型はあったほうが、失敗する確立がグッと減ります。
では次回をお楽しみに(^^)/