帆船豆知識 №2

例会で出た素朴な質問に答える帆船についての豆知識のコーナーです。

第2回目の質問は・・・

Q サンタマリアの船尾の外板はせり上がっているのか、喫水線に平行なのか?

 

 


A サンタマリアはキャラック船又はナオ船(Nao)といわれています。
正確な図面等は残っていません。
そのせいか、キットによって船の形が違います。
サンタマリアのレプリカも何種類もあります。
代表的なものでも1890の400周年のナオ船としてのレプリカはスクエア・スターンです。
ところが何とキャラック船として再現されたレプリカもあります。
500周年のナオ船としてレプリカはラウンド・タックです。
この時代の船尾形状が、ラウンド・タックとその後に出てきたスクエア・スターンがあります。
サンタマリアはどちらもあり得る時期の船のため話が複雑になります。
Model Shipwight No78に詳しい記述があります。

それによるとスペンインのナオ船は、Matatro模型が大変大事で、1890年のレプリカにはそのことが繁栄されていないと、船尾はラウンド・タックで外板はせり上がるとあります。

 

 

 


キャラック船の発展は下図のとおりです。

mamechishiki 2 01

Sailing Ships of War, 1400 to 1860の16ページ


基本ラウンド・タックでその後、スクエア・スターンとなりガレオンへとつながります。

mamechishiki 2 08他のキャラック船も以下のとおりでラウンド・タックで外板はせり上がっています。


 

mamechishiki 2 03

 

 

 

 

 

Sailing Ships of War, 1400 to 1860にある図


mamechishiki 2 04Dictionary of Ship Types: Ships, Boats and Rafts Under Oar and Sail にある図

 

 

 

 

 

 


 

mamechishiki 2 05

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

Sailing Shipsの図

 

 

 

 

 

 

 


余談ですが英国のキャラック船は何故かラウンド・タックはなくスクエア・スターンです。

 

 

 

コンウェイ社のアナトミーに3種類とも説明があります。
The Book of OLD SHIPS Henry B Culver著P61でもスクエア・スターンではなくラウンド・タックだと記述されています。

ラウンド・タックであれば船尾の外板はせり上がります。
底から順番に外板を突き合わせていきますから、自然と船尾はせり上がります。模型製作でも同様のことを経験されていると思います。

スクエア・スターンなら喫水線と平行である可能性が大です。せり上がる前にスクエアで船尾が切れていますからせり上がりません。
一見すると外板を大きく曲げねばならないラウンド・タックの方が作りにくそうですが
当時の船は、設計図なしで建造されました。
そうすると単純に底から外板をつき合わせて張っていくと自然とラウンド・タックになりますから、これが良かったのかもしれません。
スクエア・スターンとなるとチャンと寸法合わせをしないとできませんから面倒だったのかもしれません。

今回はこのくらいで、また次回をご期待ください。

五十嵐 著