今回は、最下層甲板のビーム(梁)の取り付けと船室の作成です。
帆船では何層かの甲板があります。
オルロップ(最下層甲板)、メイン(主甲板)、アッパー(上甲板)です。
戦列艦では、メインの下にガンデッキが追加されますが、本船は輸送船ですからガンデッキはありません。
アナトミーに詳しい図面がありますが、英国の国立海事博物館のホームページでも図面が見れます。
最下層甲板は船員の部屋や倉庫があります。
主甲板の船尾はパンの木600鉢と士官室、船長室があります。
船尾のパンノキの植木鉢(629鉢)の配置の詳細
ハロルド・ハンの図面にはカントフレームもちゃんと描かれていますので作業が大変楽です。
船尾のファッションピース、トランザム、その上にウイング・トランザム(船尾横翼材)と組みます。
最後部のカウンタ・ティンバー(船尾肋骨)は整形後に取り付けます。
トランザムの加工は今から見ると雑過ぎます。(反省、反省)(≧◇≦)
組み終えたら、先に内側をサンディング(成形)します。外側はそのままです。
本物と同じで、縦材で補強するまでは、フレームがグラつくため外側の成形はビーム(梁)や縦材を付けてから作業します。
1/96のバウンティーでは小さく手が入りません。
ルーターの直角アングルアタッチメントも入りません。
チューリップ状の断面の内側をどうやってサンディングするか?
私は、このような冶具を使っています。
丸棒を短く切って、直径3mmの竹ひごをシャフト代わりに付けます。
直径3~4cmの円盤に木材をカット
100均のマウスパッドも円盤状にガットし接着します。これがクッションになります。
その円より少し大きな円にサンドペーパー(から研ぎヤスリ#120)を切り、マウスパッドに接着します。
このチョット大きめというのがミソです。
このヘリ部分を上手く使うとチューリップ状の断面の側面部も良く削れます。
これをルーター(ドレメル)につけて、低めの回転数で内側を成形します。(高回転ですとシャフトが折れたりします)
実は、この道具は、モデル・シップ・ビイルダーのThe Matthew Project9ページに紹介されているツールを参考に手元にある材料で作りました。
「から研ぎヤスリ」の番手毎(#80、#120、#240、#400)と円の直径(2cm、3cm、4cm)と数種類作っておくと便利です。
内側の面が凸凹だと、ビームを支えるクランプ(ビームを支える縦材)の作業が大変です。
先を急がずキッチリと仕上げます。
内面の成形ができたら、キールソンを取り付けます。
1/96の小さな船体で接着剤が乾くまでの間、どうやって固定するのか?
私は、写真にあるような冶具を自作しました。
2mmのビスと2mmのアクリル板を用意します。
アクリル板にはタップでネジを切ります。
この冶具を使って、キールソンをキッチリと固定します。
いちいちドライバーで作業するのは手間ですが、しっかり固定できるので意外に便利です。
この冶具は、外板の固定やビーム(梁)の押さえつけにも重宝します。
次に内側のティンバー(縦材)を付けます。
フレームを固定するのが目的です。
リンバー・ストレーキ(キールの横)とビルジ・ストレーキ(湾曲部縦材)をつけます。
この船の図面にはライダー(補強材)が見当たらないので、作業を省略します。
私の使っている糸鋸 ドレメルのモトソーです。
持ち運びを前提にした糸鋸で、大変コンパクトで私の狭い造船所にはピッタリです。
次に最下層甲板の華奢な梁をとりつけます。重量物が乗りませんから、実に華奢な梁です。
ところどころに船底へのアクセスのためのグレーチング(格子)があります。
このグレーチングの加工方法は、別の機会に説明します。
中央部が船倉で、この船は最下層甲板は船倉の部分は途切れます。
船首側と船尾側の船員の部屋を作ります。士官の部屋と比べ質素な部屋です。
扉の鉄格子もピアノ線で再現しています。
船体に取り付けた状態です。
しかし、ここまで凝っても完成すると全く見えません・・・(*_*)
メインマストの周囲が弾薬庫になっているため、この船では独特のロッカーが付きます。
これも完成すると全く見えないので凝る必要があったかチョット残念です。
次回は主甲板(メインデッキ)のビーム(梁)の加工です。