例会で出た素朴な疑問にお答えする帆船についての豆知識のコーナーです。
今回の質問は?
ビレイピンの寸法って具体的に何cm?
知ってるようで知らない話です。
19世紀のティークリッパーのカティサークを製作中の佐野会員からの質問です。
図面にも必ず記載されているピンレールですが、直径は? 長さは?
誰もが知っていそうですが、誰にも説明できない難問なのです。以外に文献に記載がありません。
19世紀以降の船では艦舷のピンレイル、マスト周りのフィアレイルにビレイピンがささっていて、そこに索を留めますが、
17世紀はそうではありません。
The and Fitting of the English Man of War: 1650-1850 の219ページに次の記載があります。
ビレイピンが出現するのは1660年以降、モデルメーカーはもっと注意すべきだと
それまではスタンチオン、ビット、ティンバーヘッド、クリート、ケベル、リングボルトなどが使われていました。
ピンレイルとマスト周りのフィアレイルが索留めの中心となるのは19世紀になってからの様です、たぶん。
もちろん、バウンティー号でもオランダ商船のフルート船でもピンレイルはあるのですが・・・・
話を戻してビレイピンの寸法ですが、
“Cutty Sark“: The Ship and a Model C.Nepean Longridge著作
に記述があります。
ハンドルが9インチ(23cm)
長さのみで太さには触れていません。
Eighteenth-Century Rigs & Rigging
の247ページに記述があります。
41cm
上部は17cm
太さは上部が
11/8インチ
( 35mm)
下部が9/8インチ (25mm)
太さと長さの比率は
モデラーのバイブル的な洋書Historic Ship Modelsの247ページに記載があります。
時代ごとに少し変化しています。
長さの2/3が柄の長さ、
柄の太さは、長さの1/12
ハンドル部の太さはは長さの1/7
長さの4/7が柄の長さ、
柄の太さは、長さの1/16
ハンドル部の太さは長さの1/10
19世紀は随分スリムになっているようです。
今回はここまでです。次回をお楽しみに(^o^)/