帆船豆知識 №4

例会で出た素朴な疑問にお答えする帆船についての豆知識のコーナーです。
今回の質問は?
Q1 アンカー・ブイはどこにしまうの?
Q2ハッチ(グレーチング)と甲板の位置関係は?

Q1 アンカー・ブイはどこにしまうの?
A1 フォア・シュラウドのアンカー近くかフォア・チェインに結びます。
HistricShipModels(Woifram zu Mondfeid著)188頁
Trafalgar Comparison (MarkAdkin著
Arming and Fitting of English Ships of War(Brian Lavery著)55頁

 

 


そもそもアンカー・ブイというのは図のように、アンカーの先端にアンカーロープの1/3の太さのロープでアンカーの柄の1/4程の大きさのブイで①アンカーの沈んでいる位置を海上に示すのと、②アンカーケーブルが離れたときに緊急的にアンカーを回収するためのものです。

1680年の船で6個、小さなものを4個積んでいたようですから、結構大事なものであったようです。
Seamanship in the age of sail (John Harland著)241頁

 

 

 


Q2 甲板にあるハッチ(昇降口)グレーチング(格子)がはまっているものですが、ハッチは甲板のプランクの上におくのでしょうか?
A2違います。ハッチの縁材(コーミング)はビームやカーリングに直接接しています。デッキプランクの上にのっているのではありません。
ハッチは人や荷物を入れるためにあり、雨天時はカンバスで覆います。
通常はグレーチング(格子)をはめて落ちないようにしています。
また縁材(コーミング)もわざと高くし落ちないようにしていたようです。
縁材の幅は6~10インチ 高さは15~18インチですからかなり高いです。
ハッチの構造ですが、前後の縁材はヘッド・レッジ(艙口端縁材)と言われビーム(肋材)の上に位置します。左右の縁材はコーミングと呼ばれ、カーリング(部分的縦梁)の上に位置します。
結構上部な構造になっており、決して甲板の上にのっかているのではありません。
ボディプランをみても甲板の上にのっていないことがわかります。

縁材はかなり高いと説明しましたが、これは英国艦の話でオランダ船ではかなり低いです。
また、デッキプランクと髙さを調整するような材まであります。
人が落ちないようにではなく、荷物の出し入れのし易さを優先しているようで、いかにもビジネス優先のオランダ船の特徴がでています
グレーチングの幅は3インチ、小さな船では2.5インチだったようです。