帆船模型洋書の紹介
蔵書の中でこれは良いというものを紹介するシリーズの第3弾です。
今回は、模型制作のベースとなる知識を得るためのチョット格式の高い本をご紹介します。
3部作と呼ばれていた本です。17世紀~19前半世紀の英国船です。この3冊あれば、帆船の知識は十分なものとなるでしょう。
1冊目はリギングの解説本です。これには和訳本があります。非常に上手に和訳されています。
リギングについて、詳細に年代毎の違いを図を使って説明されています。
船体幅からメインマストの太さが決まり、全てのマスト、ヤード、索の太さ、長さが決まります。更に索の太さからデッドアイや滑車の大きさも決まります。これらのことが詳細に記載されています。
また何時ごろからフートロープが付くのか、スカイマストが導入されたのかといったことも詳細に記載されています。
表紙は2種類あります。また出版社も英国のコンウエイ、米国のNaval institutePressの2社あります。
The Masting and Rigging of English Ships of War, 1625-1860
James Lees著
出版Naval Inst Press ConwayMaritimePress
1979年 212ページ
現在入手難なので、和書の方がいいかもしれません。12960円でアマゾンで入手できます。もともと30ポンドの本ですが和訳が素晴らしいのでこちらの方がいいかもしれません。
なぜかこちらは339頁です
2011年の出版です
2冊目は、船体構造について詳細に記載した本です。
表紙のとおり、構造模型を作る人には必読書だと思います。
船体のフレーム構造や外販やウエルの張り方、甲板関係ではビーム(梁)とカーリング(縦材)とレッジ(補助梁)その組込み方法について詳細に記載されています。また、他に舵についても舵棒と舵輪の両方についてその構造の詳細が記載されています。ポンプ、ウインドラス、キャプスタン、料理用のギャレーの解説の精密な図面を使って説明されています。
The Construction and Fitting of the English Man of War: 1650-1850
Peter Goodwin 著
出版Naval Inst Press ConwayMaritimePress
1987年276ページ
amazonで古本が5000円弱で売られています。もともと35ポンドの本ですからお買い得かもしれません。
3冊目は、表紙のイメージと内容がちょっと違い、船体構造の本ではなく、大砲と艤装についての解説本で、艤装は一部2冊目の本とダブりますが、とらえ方が違うの無駄ではなく理解が深まります。舵、アンカー、キャプスタン、ポンプ、ボート、銅版張りと多義にわたり、各々精密部面で非常に詳しく説明がなされています。
例えば銅版張りの最初は1761年32門艦アラートからなど・・・・
ボードの解説も、ロングボート、ランチ、バージ、シャロップ、ヨール、カッター船体構造だけでなく帆走艤装も詳細に解説されています。
The Arming and Fitting of English Ships of War, 1600-1815
Brian Lavery 著
出版Naval Inst Press ConwayMaritimePress
1987年319ページ
amazonで入手難で高額になっています。もともと35ポンドの本ですからちょっと購入は待った方がいいと思います。
他の大砲の解説本としては、PeterPadfield著のGun at Sea(同名の別の本があるので、著者に注意です)がありますが、大砲の種類についてより撃ち方や弾道等々に重きが置かれていて趣は異なります。
大砲関係で有名なIanHogg著のNaval Gunもありますが、よくまとまり絵も綺麗ですが帆船の大砲の記載は60頁弱とちょっとさびしいです。
次回もご期待下さい。
五十嵐会員著