帆船豆知識 №6

例会で出た素朴な疑問にお答えする帆船についての豆知識のコーナーです。
今回は4月の例会での質問です。

Q1 階段ってどうなっているの?


 帆船模型を作成していると階段を作ることとなります。
この当時の階段はどうなっていたのでしょうか?

英文献ではLadderと記載されています。

正確には階段ではなく梯子となります。

踏み板の間隔は英国で7~9インチ(18cm~23cm)とあります。

Arming and Fittimg Einglish ships of War P240

オランダ船では9daumen(21cm)だったようです。

Nicolaes Wisten ShipBuilding in the Dutch Golden Age

 踏み板の幅は21cm 厚さは4cm 階段の幅は62cmとあります。
 幅62cmはちょっと狭い気もします。

 

 


 17世紀ころは階段が直線でなく湾曲したS字になっているものが結構ありました。

17世紀から18世紀中期までは階段も豪華に装飾されていました。

 

 

Ladder 17c 18c
 18世紀中期以降はシンプルなものになります。
手摺が豪華な物や、側面板に彫刻が有ったりします。、

 

 

 

ベル・ラダーといってらせん状になっているもの、踏み板が扇方になっているものなど・・・

 

 


 船尾楼プープデッキからクウォターデッキへ降りる階段は豪華絢爛だったようです。

 

 

 階段は中々書籍にも解説がないのですが、構造模型のバイブルともいえる
Navy Board Ship Models1650-1750

には結構詳しく説明があります。
 

 
 

 
 

最近同じ書名で著者の異なる本が出版されています。

写真が全てカラーになった点と4000円ちょっとと手ごろな価格がうれしい本ですが

階段の説明はありません。

 なお、ガンデッキから下のORLOPデッキや、そこから船底へのアクセスは階段やはしごでななくピラーと呼ばれる柱に刻みをいれた簡単な登り棒だったようです。
船によってことなりますが。

 

 

 図はヘルマン・ケッティング著のPrinsWillemの図です。平成のはじめ、長崎オランダ村に同船のレプリカがありました。
 その後、オランダへ売却され失火で焼失していますが。

 

 

 平成3年のころ、まだ船倉に入っていけたころに小冊子が売られていました。
 その小冊子に、アムステルダム国立博物館のヘルマン・ケッティング主事が博物館所蔵のプリンス・ウィレム模型を土台にして復元建造計画をまとめられたそうです。
1980年のちょっと前です。
その際の研究成果をこの本にまとめたと、さらっと記載されています。

この本は、入手に苦労しましたが、ドイツ語版が古書で22ユーロ送料込だと5000円で入手しましたが今はちょっと安いようです。

内容はモデラー必須です。


 

 

あとは、私のモデラーへの推薦1位の洋書:Historic Ship ModelsにLaddersと章を設けて解説しています。

 

 

 

 

 


 

 

注意!!階段の踏み板は甲板ではなく海面と水平に!!と注釈までついています。
右図は別の書Arming&Fitting English ships of Warのものです。